小規模でも実現可能な森林 GIS「 Free の QGIS で森林情報管理 」

 まず、最初に「 何故この様な事を始めたのか?」については、前の投稿をご覧下さい。

 ここでは、我々が行っている「 QGIS で森林情報管理 」について例を使って説明しています。あくまでも、我々の問いである 「 そんなに投資が出来ないながらも、小規模な範囲でも GIS で管理出来ないのだろうか?」を実現する為に行っている内容となりますので、ご了承下さい。

 ちなみに、表題の Free は「 自由に使って良い 」を表しているので基本的にソフトウェアをダウンロードして使用する事に対する金額は発生しません( 後で触れるプラグインも同様 )。パーソナルコンピューターやネットワーク環境等は各種書類作成等の業務で既に使用しているので、今回の投資としてカウントはしていません。ですので 「 QGIS で森林情報管理 」を実現する為に要したソフトウェアに対しては、ほぼ Free( ここでは無料に近いの意味 )です。業務時間以外の自身の Free Time( 空き時間 )を独学で勉強する為に費やした時間を、どう考えるかはそれぞれでしょうね。

 最初に、どんな流れで行っているのかザックリした絵で示します。細かい流れは下記で説明致しますが、要約すると通常のコンパス測量時に任意の測点で座標を取得しておいて、データを入力し QGIS に取り込めるファイル形式に変換する形となります。

それでは、実施例を見てみましょう。

【 実施例 】

 まず、測量時点に行うべき事があります。BP つまり 0 の測点での座標を取ります。この座標は、スマートフォンの位置情報を使って取ります。もし、0 で座標が取れなくても、別の測点で取れれば OK です。ちなみに、GPS で座標を取得する場合、山の中では誤差が出ます。プラマイ3とか5mだと、とても良い数字だと思います。

 測量が終わったら、データ入力して QGIS に読み込む形式にファイルを出力します。この形式は、シェープファイルと呼ばれ、QGIS のベクタレイヤに読み込まれる形となります。つまり1つの測量データにつき、1つのベクタレイヤとなってくる、と解釈しています。ちなみに、個々のベクタレイヤ内には属性データが存在しており、例えば事業年度・事業名・地番・所有者名等を入れ込んでおく事が出来ます。

 ※ 注意 ※ 

森林所有者名等の個人を特定出来る情報は、個人情報になりますので直接入力しておくのではなく、自分ルールで暗号化しておいた方が良いと思います( 小規模だからこそ、自分ルールで!)。

 前の話で、GPS 座標には誤差が出ると書きました。実際 QGIS に読み込んだ際に、微妙にずれている事がありますが、これを動かす事も出来ます( 地物の移動、と言うそうです )。ですので、実際測量した際には、大まかに地形を覚えておく事をお勧めします。

 この様な手順で次のような形になります。例えば、施業年度毎に色分けする事も可能です。

 次に、作業道の路線図も同じ様な手順で作成可能ですが、もう1つ歩いた軌跡からも QGIS に読み込む事が出来ます。測量する際には、座標を調べる必要がありますが、アプリで軌跡を取得する際には、ある時点での座標を取る様になっているので、いちいち取得する必要はありません。ちなみに GARMIN 等の GPS 機器も、軌跡を取る時はそうしているんじゃないでしょうか。

 ただし、軌跡だとズレが出る事もあります。縮尺が大きければ余り気にならないでしょうが、1/5,000 ぐらいから下になってくると、おや?と感じる事もあります。正確な線を希望するのであれば、測量が一番でしょうね( その判断は各々方になるのでしょう )。軌跡を取得した際 QGIS に読み込む為に、必要なのがプラグインです。

 実際、取り込んだ情報を先の図面に重ねた場合、次の様になります。

 最後に、QGIS の印刷機能( プリントコンポーザ )は非常に優れています。位置図等を印刷する際に、スケール・方位マーク・凡例・縮尺指定・テキスト挿入等々の多種多様な設定が可能となっています。

 論より証拠で例えば、この様な印刷が可能となります。

 慣れてくれば、この様な印刷物の形に作り込むのにそんなに時間はかかりません。逆に、体裁に凝ってしまうとズ~ット時間をかけてしまうので、逆効果ですね。

 いかがですか?もし、読者の方が森林を所有されているとして、説明資料の中にこの様な図面が入っているだけで説明に興味を持っていただける様になりませんか?

 とりあえず、ここまで出来てくれば、我々の第一目標が達成してきた感じです。後は、その都度勉強と試行錯誤をしていく事になっていくでしょう。

 以上が、我々が取り組み始めた内容となります。QGIS 自体は、多機能ですので全ての機能を使いこなせるかどうかは分かりませんが、「 そんなに投資が出来ないながらも、小規模な範囲でも GIS で管理出来ないのだろうか?」を実現する為にやっています。新たな記事があれば、不定期に更新していきたいと思います。

ただし、今後の林業界も森林所有者様に対するアピールのアイテムとして、この様なソフトウェアの知識・操作等が必須になってくるのだと個人的には思います。